1990年代、日本のテレビを賑わせた「超能力者」たち。
スプーンを指で触れただけでクニャッと曲げる、
東京タワーから“全国に念を送る”と言い出す、
そして番組を見ていた視聴者が「私も曲がりました!」と電話やハガキを送る……。
あの一連の騒動は、今となっては少し懐かしく、少し怪しく、そしてちょっと面白い話題です。
では実際、スプーンが曲がったのは超能力なのか?インチキなのか?
ここでは「科学的に起きていたこと」を分かりやすくまとめてみます。

① 東京タワーから九州に“念”は届くのか?
当時、番組では「東京タワーから全国へ念を送ります!」という決めゼリフがありました。
しかし実際には、東京タワーの高さ(約333m)から九州方向に直線を引くと、地球の曲率のせいで完全に見通し外。
光も電波も直接届きません。
もちろん「念」が物理現象なら、科学的には説明は成立しません。
では、なぜ視聴者が「曲がった!」と言っていたのか。
② スプーンが本当に曲がった“3つの現実的理由”
1. 金属疲労(スプーン自体の弱さ)
安価なスプーンの多くはステンレスの薄いプレス品で、根元が極端に弱いものがあります。
数回しならせば、誰でも簡単に曲がります。
テレビ局が用意した小道具、家庭にある安いスプーンなら曲がっても不思議ではありません。
2. 心理的誘導(観察錯覚)
超能力者はスプーンを上下にゆっくり揺らしながら、こう言います。
「ほら、曲がってきましたよ……!」
揺れている金属は光の反射と角度の錯覚で、曲がり始めたように見える現象があります。
3. 視聴者側の“自己暗示と期待”
テレビ全盛期で、しかも「今、日本中で奇跡が起きています!」と実況されれば、
子どもでも大人でも興奮と期待で手の力加減が変わります。
「曲がると思って力を込める」→ 曲がる → 「超能力だ!」
この構図が全国で量産されました。
③ インチキなのか?
当時のテレビ関係者の証言や検証番組の結果を見る限り、
“超能力”そのものは科学的実在とは認められていません。
しかし、完全なインチキと言い切れないのは、こういう事情があります。
- 番組の盛り上げのため、「今日本中で曲がっています!」と演出した
- 視聴者自身が勝手に曲げてしまい、本当に“曲がった状態”の写真が大量に届いた
- 芸人もマジシャンも“演出として”やっていた(手業の可能性大)
つまり、スプーンが曲がったのは——
超能力 × テレビ演出 × 視聴者の思い込み
この3つが重なった結果と言えるでしょう。
④ それでも人気が出た理由
単なるインチキなら、ここまで社会現象にはなりません。
なぜあれほど話題になったのでしょうか?
- 「自分でも奇跡が起こせる」という高揚感
- 家族やクラスで盛り上がる“体験共有型エンタメ”
- テレビ番組の勢いが強かった時代背景
- 非日常を求めていたバブル末期〜平成初期のムード
★ 英語キャプション(English Caption)
This article explores why the “spoon-bending boom” took over Japan in the 1990s, separating psychological effects and simple physics from supposed supernatural powers.
★ あとがき
今となっては懐かしささえ感じるスプーン曲げブームですが、
改めて振り返ると“時代の勢い”が作り出した大きな遊びだったように思えます。
現代は情報があふれ、冷静な検証もすぐ調べられますが、
あの頃のテレビが作るワクワク感は、やっぱり特別だったのかもしれません。


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