Why a room can smell strongly even after a person leaves — the “odor cloud” around the human body
この記事は「人の臭いの科学シリーズ」の一部です。
全体はこちら → 人の臭いはなぜ起きるのか|体臭・口臭・室内臭の科学
ある日、自宅の風呂の修繕で業者の方が来たときの話です。
作業自体は15分くらいで普通に終わりました。ところが、業者の方が帰ったあとに風呂場に残った臭いがあまりにも強烈でした。
歯槽膿漏のような腐敗臭、タバコ臭、そして酸化した油のような臭いが混ざった匂いです。
いわゆる古い換気の悪いアパートに入ったときのような臭いでした。
風呂場の窓を全開にし、扇風機で強制的に空気を回して30分ほど換気してやっと臭いが消えました。
そのとき感じたのが、次の違和感です。
呼気の臭いというより、人の周囲に臭いの空気が漂っているように感じたのです。
これは気のせいではありません。
人の臭いは、実は呼気だけで広がるわけではありません。
人体の周囲には、臭いをためる空気の層が存在します。
人の周囲には「臭いの空気」ができる
人の体は常に約36〜37℃の熱を出しています。
この熱は周囲の空気を温め、空気はゆっくりと上昇します。
すると人体の周囲には、次のような空気の流れが生まれます。
↑ 上昇する暖かい空気 │ [人体] │ 周囲の空気が引き寄せられる
この流れの中に、次のものが混ざります。
- 呼気
- 体臭
- 衣服の臭い
- タバコ臭
- 皮脂臭
その結果、人の周囲には臭いを含んだ空気の層ができます。
空気物理ではこれを境界層と呼びます。
つまり、臭いは単に口から出ているのではなく、人の周囲の空気そのものが臭うのです。
なぜ近づくと急に臭うのか
この現象を経験した人は多いと思います。
ある距離までは気にならないのに、近づいた瞬間に急に臭いが強くなることがあります。
これは、次の境界に入るからです。
遠い → 空気が拡散して臭わない 近い → 臭い境界層に入る 非常に近い → 呼気臭
つまり、人の臭いには三段階の距離があります。
- 遠距離:ほぼ感じない
- 中距離:体臭
- 近距離:呼気
今回感じた「周囲に臭いが漂う」という印象は、この中距離の体臭層だった可能性が高いです。
なぜ風呂場に臭いが残ったのか
今回の臭いは30分の換気で消えました。
これは重要なポイントです。
もし臭いの原因が次のものだった場合、30分では消えません。
- カビ
- 建材臭
- 排水臭
今回の臭いはおそらく
- 歯周病臭
- タバコ臭
- 皮脂酸化臭
などの人由来の揮発臭です。
このタイプの臭いは空気中に漂うだけなので、換気で消えます。
なぜあの臭いは吐き気がするのか
人が特に強く嫌悪する臭いには共通点があります。
それは次の3つです。
- 腐敗臭(硫黄系)
- タバコ臭
- 酸化脂臭
これらはすべて腐敗や不衛生を知らせる臭いです。
人間の脳は本能的に危険信号として反応します。
そのため、強い嫌悪感や吐き気を感じることがあります。
もう一つの疑問
今回の体験で、もう一つ不思議に思ったことがあります。
それは、
本人はこの臭いに気づいているのだろうか?
という点です。
実は多くの場合、本人はほとんど気づいていません。
人の嗅覚には自分の臭いに慣れてしまう仕組みがあります。
これを嗅覚順応(ノーズブラインド)と呼びます。
この仕組みについては、次の記事で詳しく解説します。
👉 人の周りだけ臭う理由|体温が作る「臭い境界層」という空気の流れ


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