副業に興味のなかった男が、古陶磁に出会うまで

私はもともと、美術品にも骨董にも、副業というものにも興味がありませんでした。
ただの勤め人で、必要なものがあればネットで安い中古を探す──そんな生活です。
ある日、欲しい物があってインターネットオークションを覗いてみると、
1円スタートのものから強気の価格設定まで、さまざまな出品がされています。
ですが最終的には必ず“落ち着く値段”というものがあり、
どれだけ安く始まっても、結局は似たような価格帯に収束することが分かりました。
その中で気づいたのは、
安いものほど“訳アリ”が多い。
当たり前のようですが、数日間眺めてみると実感としてよく分かりました。
偶然目に入った「美術品」の欄
オークションサイトには膨大なジャンルが並んでいます。
まるで電話帳のような分類で、「世の中にはこんなにいろんな物が売られているのか」と感心しました。
ふと興味本位で、美術品・アンティークのページを開いてみると──
そこには私の価値観を揺さぶる世界が広がっていました。
鑑定付き、真作保証、返品可。
そんな商品が、とんでもない値段まで競り上がっていく。
「えっ…この猫の茶碗みたいな物が、そんなに高くなるの?」
本当に衝撃でした。
“副業としての可能性”に気づいた瞬間
そのとき、ある考えが頭に浮かびました。
本物と偽物を見極めて、鑑定が取れれば高く売れるのでは?
仮に外れても、オークションでまた売れば買値に近いはずだから、大損はしないのでは?
当然ながら、骨董は素人が手を出してはいけない世界です。
けれど、「相場が存在する」という事実は、他の商品と同じ。
仮に“限りなく本物に近い品”を安く買うことができれば、
リスクは最小限で、リターンはとても大きいのではないか。
そんな思いが湧いてきました。
狙いを定めたのは、備前焼と楽茶碗
陶磁器の世界は素人には難しい。
ですが、幸いなことに鑑定機関が存在する分野がいくつかあります。
調べて分かったのは、
- 古備前焼(備前焼の古いもの)
- 楽茶碗(京都・楽家の茶碗)
この2つは、正統な鑑定機関がしっかりしている。
そこで私はブックオフに行き、
備前焼と楽茶碗の本を買い漁り、
特徴・時代背景・作家の癖などを勉強しました。
オークションの写真と見比べてみると…
「これは絶対違うな」
「これはもしかすると当たりかもしれない」
少しずつですが、分かるようになっていきました。
転機となる“友人の一言”
そんなある日、友人からこう言われます。
「古い焼き物が好きなら、ちょっと良いところがあるよ。」
この言葉が、私を“本物の古陶磁の世界”へと引き込んでいくことになります。
つづく
あとがき / Postscript
この頃の私は、まだ「副業をやろう」と肩肘張っていたわけではなく、
ただ相場の仕組みと人の心理を観察していただけでした。
それがいつの間にか、骨董という世界に導かれていったのだと思います。
次回はいよいよ、友人に教えてもらった“ある場所”と、
そこで私が実際に踏み出した一歩について書きます。
英文キャプション / English Caption
This episode tells how I, a man with no interest in side jobs at first, discovered the world of antique ceramics through online auctions. The story continues in the next chapter.


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