Why Are Some Riverbank Areas Mowed and Others Left Untouched?
普段、何気なく通る堤防や河川敷。草がきれいに刈られている場所もあれば、道のすぐ横だけ妙に草が残っている場所もあります。さらに川岸には大きな木が何本も生えていますが、「なぜ切らないのだろう?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
今回は、実際に私が撮影した写真を交えながら、河川管理の“本当の理由”を、専門的な内容をできるだけ分かりやすくまとめてみました。この記事を読むと、堤防を見る目が少しだけ変わるかもしれません。
道の横だけ草刈りがされていない理由

① 法面(のりめん)保護のため、あえて草を残している
堤防の舗装道路のすぐ脇は、土がむき出しになると雨水で削れやすくなり、法面崩落の原因となります。そのため、「根で土を押さえる役割」を残すため、一定の草を刈らずに生かしておく区間があります。
特に、舗装道路と法面の境界部分は構造上弱いため、ここを全て短く刈ると、むしろ堤防の弱体化につながります。
② 管轄の境界で“刈り残し”のように見えることがある
堤防道路は、道路管理者と河川管理者が分かれており、草刈りする範囲も担当ごとに違います。多くの場合、刈り取られるラインは行政上の境界で区切られるため、結果的に「ここだけ残って見える」現象が起きます。
③ 道路側は安全配慮で刈らないケースがある
堤防道路は交通量が多い場所もあり、草刈り中の接触事故を避けるため、道路の白線から一定の幅を残す運用を採用している地域があります。これも「意図的に残している草」に含まれます。
川岸の大きな木を切らない理由

① 自然環境保全のため、むやみに伐採しない方針
近年の河川管理は、「治水一点張り」から「治水+環境保全」の時代へと変わっています。川岸の木は、魚類・鳥類・昆虫など多くの生き物の住処となるため、必要最小限しか伐採しない方針が原則です。
特に、木々が作る「日陰」「根のネットワーク」は生態系にとって重要で、河川の豊かさを保つ役割があります。
② 危険木だけ伐採し、安定している木は残す
川に倒れ込みそうな木や、洪水時に流木化する危険がある木は伐採されます。しかし、根がしっかり張り、傾きもなく安定している木は、あえて残す方が護岸に優しいとされています。
③ 木を切る方がかえって護岸を弱めてしまうことがある
木を伐採すると、時間の経過とともに根が枯れ、土がゆるみ、護岸が崩れやすくなるケースがあります。そのため、「切らない」という判断の方が安全につながる場合もあります。
④ 河川管理者の許可と計画が必要で、すぐには伐採できない
河川内の樹木を勝手に伐採することはできません。伐採は、国や県の計画にもとづき、毎年限られた範囲で行われます。これにより、“気付いたら大きく育っていた木”が残ってしまうこともあります。
まとめ:堤防や河川敷の景色にも、しっかりした理由がある
何気なく見ている堤防にも、治水・安全・生態系・管理コストといった複数の視点が組み込まれています。道の横の草が残されているのも、川岸の木が切られていないのも、実はすべて「理由のある管理」なのです。
あとがきコラム:身近な景色を“読み解く”と暮らしが豊かになる
私たちは毎日、堤防や川沿いの道を当たり前のように通ります。しかし、一つひとつの風景には、実は専門的な理由や、現場の人たちの工夫が隠れています。
「なぜここだけ草が残っているのか?」
「なぜ木を切らないのか?」
こんな疑問を持ち、背景を知ることで、普段の景色に少し奥行きが生まれます。さらに、防災や環境への理解も深まり、身近な地域への“愛着”も自然と育っていくものです。
もしあなたが散歩中に気になる風景を見つけたら、ぜひ立ち止まって観察してみてください。そこには、今日のように、地域を守るための静かな工夫がきっと隠れています。


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