第九章 利ザヤを生む“古陶磁の世界”へ踏み込んだ日々 / Chapter 9: Discovering Profitable Antique Pottery

骨董・古美術(副業)

市場仕入れの現実

インターネットで売りやすいものや、利ザヤの大きい品物を探して市場を巡っていた頃、正直なところ毎回うまくいったわけではありませんでした。経験が浅かったのか、別の使い道を思いつく発想力が足りなかったのか、それとも単純に仕入れのセンスが無かったのか。今思えば、どれも少しずつ当てはまっていた気がします。

市場で“何も買えずに帰る日”が続く

市場では「これは!」と思うものが全く見つからず、何も買わずにすぐ退散した日も少なくありませんでした。今となっては、あのとき素直に“見る目”を鍛える修行をしていたのだと受け止めていますが、当時はなかなか焦りもありました。

備前焼と楽焼──“鑑定書が値段を変える”世界

並行して、私はインターネットで備前焼と楽焼の良品を探すようになりました。 備前焼は岡山の「古備前鑑定委員会」、楽焼は京都の「楽美術館」で鑑定が行われます。
当たりを引けば跳ね方が大きい世界でもあります。そして、ここで一つの“ルール”に気づきます。

産地の近くの出品者は絶対に買わないロジック

ただし、どれでも買えば良いというわけではありません。少し考えれば分かることですが、備前焼なら岡山周辺、楽焼なら京都周辺の出品者が扱う古い作品は、基本的に手を出しませんでした。

理由は簡単です。その人が鑑定機関に持ち込めば値段が跳ねる可能性があるのに、それをせずネットで売っている時点で「すでに鑑定が付かなかったからだろう」と推測できるからです。

この単純なロジックは、今でも通用するケースがあります。ネット物販でも古物でも、結局は「売り手がなぜ今の形で売っているのか」を読む力が大切なのかもしれません。

備前焼は“見抜く目”が求められる世界へ

備前焼に関しては、時が進むにつれて目利きの人が増え、室町期以前のような古い品を安く拾うのはどんどん難しくなっていきました。 古備前は市場に出る量も少なく、素人の“ワンチャン”が効きにくくなっていったのです。

そこで私が次に目を向けたのが“楽焼”です。

一方で、楽焼にはまだ“隙”があった

当時、十五代楽吉左衛門氏の鑑定は“非常に厳しい”と有名でした。実際、ネットでも「まず通らない」「書付をもらえる方が珍しい」といった噂が広まっていました。

にもかかわらず、私の場合は持ち込んだうちのおよそ五割がだいたい鑑定をいただけました。これは正直、運も大きかったと思いますが、特に“楽四代 宗入”の作品には縁があり、数多くの香合や小品で鑑定をいただきました。

5〜6万円で仕入れたものが、宗入の書付を得て百万円前後で売れた例も複数あります。茶碗よりも香合などの細工物の方が打率が高かったのは、茶碗は人気で高額になって仕入れも厳しかったですし、細工物は上手いか下手かや、作者が作っているもののの図録で類似品を見れば一目瞭然だったからです。今思えば興味深いデータです。

Column: 鑑定書が副業の「武器」になる理由

骨董の世界では、購入者が最も恐れるのは「本物かどうか分からない」というリスクです。 そこに“鑑定機関の保証”が入るだけで、品物は「不安な品」から「安心して高額で買える品」へと変わります。

ただ、鑑定書の偽物もあるので注意しないといけませんが、販売する時に、『私が直接鑑定を貰いました。』と書いていると間違えないので値段も上がります。
もし、これが嘘であれば、詐欺として訴えられますからね。

副業として古陶磁を扱ううえでは、 ・見る目を磨く ・鑑定機関までの導線を知る ・“売れる物語”を付加する この3つがそろえば、数万円の仕入れが100万円に化けることが現実に起こります。

特に茶道具に関しては値段が跳ね上がる傾向があります。

あとがき / Afterword

From hesitation to confidence in the antique market.

市場を歩きながら「今日は何も買えなかったな」と落ち込む日もありました。 しかし振り返ってみると、その経験が、備前焼・楽焼という“点”を線につなげ、 私なりの仕入れルールを確立する重要な時間だったと思います。

鑑定書をもらいに行く時の小さな緊張や、宗入と分かった瞬間の喜びは、今でも強く印象に残っています。 そして副業は「稼ぐため」だけでなく、 ちょっとした発見が人生を豊かにしてくれる時間 でもあるのだと、この頃に気づきました。

In the next chapter, I’ll share specific “big wins” and “painful mistakes” that shaped my antique-hunting journey.

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