以前に研ぎ直した日本刀の残欠を、実用的なナイフとして蘇らせた。
今回は、そのナイフのグリップを山で拾った鹿の角で自作してみた。
素材選びと切り出し
まず、握りやすい形状を探して角を選ぶ。
鹿の角はとにかく硬く、金属加工用のノコギリでようやく切断できた。
グリップとして自然なカーブを活かしつつ、のこぎりで切り出していく。

Deer antler found in the mountains — light and perfectly dried.
ナカゴの加工と取り付け
次に、刀身のナカゴ(中子)を挟むように角を縦に二分割。
金属用ノコでも苦労したため、ミニルーターの砥石カッターを使用して切断完了。
内側をくり抜いて、ナカゴがぴったり収まるように微調整した。

The tang (nakago) of the blade, still bearing faint markings.

The antler split in half to fit the tang snugly.
固定と仕上げ
ナカゴをボンドで固定したあと、強度を保つためにステンレスの番線を三か所に巻いて補強。
巻き位置にはルーターで浅い溝を掘り、ずれ防止と一体感を出した。
隙間はパテではなく、砥の粉と本漆を混ぜた“コクソ”を使い、自然な質感で固めた。

Reinforced with stainless wire and sealed with natural urushi mixture.
仕上げは人口漆(カシュー)を全体に塗り、乾いた後に400番の紙やすりで軽く研ぎ出す。
私は本漆を使ったので、深みのある黒艶が出て満足のいく仕上がりになった。

Finished handle coated in urushi lacquer — warm and perfectly balanced.

The remnant of a katana reborn as a functional knife.
あとがき
鹿角は加工が大変だが、完成したときの存在感は格別。
冷たく無機質な金属に、自然素材の温もりが加わることで、どこか“生き物”のような道具に変わる。
昔の刀鍛冶たちも、こうした感覚を大切にしていたのかもしれない。
またひとつ、永く使える一本ができた。

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