免許を取得し、いよいよ自分ひとりで骨董市場に参加できるようになりました。入口で古物商番号と名前を書き、市場に入ると、そこは完全に“プロの世界”。
初心者は狙われる? つり上げの話を聞いて身構える
人づてに聞いた話ですが、悪い市場だと販売人と常連が初心者に対し、つり上げを仕掛けてくることがあるとのこと。それを防ぐためには、いかに“プロに見えるか”が大事だと教わりました。
符丁を忍ばせ、怖い顔で怒鳴って入札した
そこで私は、『符丁』の一覧を小さな紙に書き、それを掌に忍ばせることにしました。
1250円はセンマイ、1650円はジュッカンメ、3500円はヒャッカン……。
入札の瞬間、紙をこっそり見ながら、わざと怖い顔をし、隣5軒先まで響くような大声で怒鳴るように入札しました。
周囲からの反応は……明らかに引かれていました。
「こいつに張り合うと厄介だ」と思わせる作戦です。おかげでそこまで競り上がらず、助かった記憶があります。

しかしプロたちは“本物の初心者”を見抜いていた
今思えば、市場の人たちは私が初心者だとすぐ気づいていたようで、
「頑張ってるね」
と、温かい目で見てくれていました。
情報は“穏やかそうな人”から引き出す
何度か参加するうちに、私はなるべく穏やかそうな方に声をかけて情報を集めました。
- 古着やボロ布は、生地として人気
- よく出る四角い糸巻きは、植木鉢置きや飾り台として需要が高い
- 蔵の重厚な扉は、テーブルにすると高額で売れる
へえーそうなんだねー。知らなかった。
どれもこれも、素人の私にはまったく発想にないものでした。 21世紀の創意工夫の多さに、驚かされたものです。
あとがき / Author’s Note
価値とはモノそのものだけではなく、“用途の再発見”で生まれるものだと、この頃に強く感じました。古道具の世界は、発想次第で何倍にも価値が変化する実に不思議な世界です。


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