What creates the typical smell of old apartments — a mixture of everyday human odors
この記事は「人の臭いの科学シリーズ」の一部です。
全体はこちら → 人の臭いはなぜ起きるのか|体臭・口臭・室内臭の科学
古いアパートや長く使われた部屋に入ると、独特の臭いを感じることがあります。
多くの人はそれを次のように表現します。
- 古い家の臭い
- 生活臭がこもった臭い
- 換気の悪い部屋の臭い
しかし、この臭いは単一の原因で生まれるものではありません。
実際には複数の生活臭が混ざった「混合臭」です。
主な成分は次の三つです。
皮脂酸化臭 カビ臭 タバコ残留臭
この三つが組み合わさることで、古い住宅特有の臭いが生まれます。
皮脂酸化臭|人が生活するだけで生まれる臭い
人は生活するだけで、室内にさまざまな物質を残します。
- 汗
- 皮脂
- フケ
- 皮膚の微粒子
これらは床や家具、布などに付着します。
皮脂は時間が経つと酸化し、次の物質を生みます。
- ノネナール
- 脂肪酸
- アルデヒド
これらは
- 古い油の臭い
- 古い家具の臭い
として感じられます。
この臭いは、人が長く生活した空間ほど強くなります。
カビ臭|湿気が作る土のような臭い
住宅では湿気がこもるとカビが発生します。
特に発生しやすい場所は次の通りです。
- 押し入れ
- 浴室
- 窓まわり
- 壁の裏側
カビは代謝の過程で次の物質を作ります。
- ゲオスミン
- 2-メチルイソボルネオール
これらは
- 土の臭い
- 地下室の臭い
として感じられます。
古い住宅の「湿った臭い」は、このカビ臭によるものです。
タバコ臭|生活環境に残る煙の臭い
喫煙が行われていた住宅では、タバコの煙の臭いが空間に残ります。
タバコの煙には
- ニコチン
- タール
- 有機化合物
など多くの成分が含まれています。
これらは独特の煙臭を持っています。
喫煙が続いた空間では、この臭いが生活臭の一部になります。
古い部屋の臭いは「生活の履歴」
古い住宅の臭いは、長い時間の生活によって作られます。
人が生活すると次のものが空間に残ります。
- 皮脂
- 汗
- 煙
- 湿気
- 微生物
それらが長い時間の中で混ざり合い、独特の臭いになります。
つまり古い部屋の臭いは、建物そのものの臭いというより
そこにあった生活の履歴
とも言えるものです。
人の臭いと似て感じる理由
古い部屋の臭いが、人の体臭と似ていると感じることがあります。
これは偶然ではありません。
人の体臭にも、次の要素が含まれているからです。
- 皮脂臭
- 生活環境臭
- 煙臭
つまり古い部屋の臭いと人の体臭は、成分の一部が共通しているのです。
次のテーマ
ここまでで、人の臭いの多くの仕組みを見てきました。
- 人体の空気境界層
- 歯周病臭の化学
- タバコによる臭い増幅
- 嗅覚順応
- 臭いの室内残留
- 生活臭の混合
しかしもう一つ興味深い事実があります。
同じ臭いでも
- 強烈に感じる人
- ほとんど気にならない人
がいます。
これは単なる慣れではなく、嗅覚の遺伝差によるものです。
次の記事では、人によって臭いの感じ方が違う理由を解説します。


コメント