二重ハバキは、意匠性と格式を高めるための高度な作り物であり、
一重ハバキに比べて、手間・精度・判断力がより強く求められます。

ご要望に応じて作成する「二重ハバキ」について
当方では、通常の一重ハバキに加え、ご要望に応じて二重ハバキの作製も承っています。
二重ハバキは、「上貝」と「下貝」の二つの部材を組み合わせて、一体として機能する構造になっています。ですから、貝というだけあって、他のものとはまず合いません。

そのため、万が一どちらか一方を紛失した場合には、原則として作り直しが必要になります。
もっとも、当方では残っている片方に合わせて、もう一方を新たに作るという対応も可能です。
二重ハバキはなぜ手間がかかるのか
二重ハバキは、既製品のように作ることはできません。
刀身ごと、正確には一振り一振りのナカゴの形状に合わせて作る必要があります。
わずかな歪みや寸法の違いも許されないため、
- 仮合わせ
- 微調整
- 叩き直し
これを何度も繰り返すことになります。
結果として、一重ハバキと比べて、作業工程も神経の使い方も増えるため、どうしても手間が掛かります。


強度についての現実的なお話
ここは誤解されやすい点ですが、
二重ハバキは構造上、一重ハバキよりも強度は劣ります。
もっとも、抜刀して合戦に使うような場面は、21世紀の現代ではまずありません。

そのため、
- 観賞用として
- 拵の完成度を高めるため
- 格式や意匠を重視する場合
こうした目的であれば、強度面が問題になることはほとんどありません。
実際には、短刀などに二重ハバキが用いられることが多い印象です。
透かし彫りなど、意匠を重視する場合
二重ハバキには、透かし彫りなどの装飾を施すことも可能です。
ただし、そこまで高度な意匠を求められる場合には、
専門のハバキ師へ依頼された方が、より満足度の高い仕上がりになることもあります。
当方では、研磨とハバキが無理なく調和する範囲での作製を基本としています。
あとがきコラム|二重ハバキは「機能」より「意味」で選ぶ

English note: A double habaki is chosen not for strength, but for meaning and aesthetics.
二重ハバキは、実用強度を求めて選ぶものではありません。
刀剣という存在に対する考え方や、拵全体の完成度をどう位置づけるか、
そうした持ち主の価値観が反映される部分だと思います。
研磨と同様、ハバキ作製も「正解が一つではない仕事」です。
もし、二重ハバキにするべきか、一重ハバキにするべきか迷われている場合も、
現物を拝見したうえで、率直なお話をさせていただきます。
無理に勧めることはありませんので、
まずはお気軽にご相談いただければと思います。


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