13世紀の高麗青磁の発掘品。
口縁の2か所が大きく欠損していたので、漆直しを施しました。
欠けを埋めるだけでは面白みに欠けるため、
その部分に 「一対の鶴が舞い降りる瞬間」 を高蒔絵で表現してみました。
2羽いることで、1羽よりもいっそうめでたく、
器全体が静かに祝福を受けているような印象になりました。
金と銀を用い、本漆と砥の粉、純金粉のみで構成した、
極めて純粋な伝統技法です。
器の景色と鶴の羽ばたきが自然に溶け合い、
まるで最初からこの形だったかのような佇まいになった気がします。





Twin cranes soar over the repaired edge — where damage turns into grace.
欠けた器を「元に戻す」のではなく、
「欠けたまま美しくする」 ― それが金継ぎの思想です。
今回の修復では、
欠損した部分をまるで鶴が飛び立つための“空”のように見立てました。
もし欠けていなければ、
この鶴は生まれなかった。
欠けがあったからこそ、羽ばたく余白が生まれたのです。
古い器が再び輝くとき、
それは単なる修復ではなく、
時間と人の手が織りなす新しい物語の誕生だと思います。
欠けの跡に、祝福の光を。
鶴が舞う場所に、静かな再生を。


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